最近なんだか無性にコーヒーが飲みたくなります。
今パリには秋の風。その冷んやりした空気とコーヒーの苦い香りとの相性が、ぴったりに思えるからでしょうか。もちろん、冬のシンとした寒さと白い息にも、コーヒーは合いますが。
以前住んでいたデンマークで、すっかりコーヒー党になりました。デンマーク人もコーヒー大好き。しかもとっても濃いやつをなみなみ注いで。暗い冬の夜、コーヒー片手に本を読んだり、家族とおしゃべりしたり。そんな風にくつろぐひとときは彼らにとって最高の時間です。そう考えるとやっぱり、寒さとコーヒーって合うんだな、と納得しちゃいます。
フランスでは、初めてコーヒーを頼んだときにびっくり。ちゃんと「コーヒーください」と言ったはずなのに、エスプレッソが出てきた。…と思ったら、フランスの「コーヒー」はいつもエスプレッソなんですねー。手のひらよりも小さいカップに入ってるあれを、ちびちびすするのがフランス人。
こちらにきてもう半年近くになり、もう慣れっこになりましたが、初めはエスプレッソが苦手でアメリカン(…のようなもの)を頼んでいました。おかげで 'Cafe allonge, s'il vous plait.' という言い方も覚えられたのですが、あるとき出てきたものがこんな感じでまたびっくり。
ちょっと多めのエスプレッソと、お湯。
自分で好みに薄めてねってことなんでしょう。まあ、薄すぎるものが出てくるよりはいいのですが、これでいいの?って疑問に思いませんか。でも当たり前の顔で出されたら、逆にこれが本当のアメリカンなんだ、と思わされてしまいます。
フランス人は家庭でももちろんエスプレッソ。マシンさえあれば、簡単に淹れられます。ネスプレッソというメーカーが人気のようで、専門店では長蛇の列ができているのをしばしば見かけます。
この写真のような、カラフルなポーションをマシンにセットして、ボタンを押すだけなのでお手軽。何種類ものフレーバーが選べるのも魅力なんだと思います。
一方のわたし。そのエスプレッソマシンが家にありましたが、知人にあげてしまいました。慣れたといっても家ではやっぱり普通のコーヒーが飲みたいですから、いらないものは処分処分!
そしてパリに来る前からずーっと考えていたことは、コーヒー豆を挽いて飲むこと。日本でもフランスでも、お豆は売っているし、あとはコーヒーミルを買うだけ…と分かっていながらも、なかなか手が出ずにいました。…が、最近ついに実現!
この古びた感じ、お分かりでしょうか。中古です。しかもカビっぽいにおいのついた。でもいい味だしてる。
買ったのは、旅行先・プラハのがらくたショップ。まさに「がらくた」というにふさわしく、無造作に物が置いてあるアンティークショップでしたが、同行人とともに気に入ってしまい、2日間連続で通いました。ミルは同行人がひと目惚れ。しかも350チェココルナ、約14ユーロと、お買い得価格で即決でした。
さて、家に帰ってさっそく豆を購入。…したものの、ここからが長かった。まずドリッパーが家にない。今までインスタントコーヒーで省略していたので、道具が揃っていなかったのです。
前述のとおり、エスプレッソ中心のフランスコーヒー社会、わざわざ豆を挽いて、ドリッパーで淹れようなんて人は珍しいのか、探せど探せど見つかりません。百貨店にも台所用品屋さんにもない。すぐ買えるだろうとタカをくくっていたけれど、探し方が悪いのかドリッパーのドの字もなし。ドリップ方式で淹れる人はみんな、コーヒーメーカーを使ってるってこと?
そう、これ。ちなみにドリッパーはポットの上に乗せて、コーヒーを濾す道具です。
実はドリッパーもこだわって、カリタ式にメリタ式、コーノ式…とリサーチをして買うものを決めていましたが、そんな場合じゃない。見つからないんだもの。ええい、この際なんでもいいわい!…と思っていた矢先、絶対あるはずないと思って行かなかった近所のしがないスーパーにあったのでした。灯台下暗しとはこのこと。プラッチックの5ユーロのやつだけど、見つかっただけで万々歳です。
そしていざ、豆を挽くぞ!となったとき、また足りない物が…。それは紙フィルター。買っておいたのに、サイズが小さすぎて、ムリヤリでも淹れられないほどだったのでした。がっくり肩を落としてその日はあきらめ、翌日改めてフィルターを買いなおし、やーっとコーヒーにありつけたという具合。
そうして淹れたコーヒーは、ちょっと苦労した分のサービス点がついて、なかなか満足のいくものでした。豆挽き初めてにしては合格点。調子に乗っておなかを壊すくらい飲みました。豆を挽くことの手間はすこしかかりますが、それも楽しい作業。美味しいコーヒーを淹れられるようにこれから研究しなきゃ、と思うこともまた、嬉しい。
だんだん暗く、寒くなるパリの秋ですが、しばらくは楽しい朝のひとときが過ごせそうです。

